


長流(得応軒)
如水・則妙・削用等と同様に同名の筆が多いですが、名前の由来となった元祖の筆です。
得応軒と銘打たれたのはこの筆だけです。
主に上質の羊毛を使いつつも芯には馬毛・鹿毛、穂先には狸毛を使った筆で、
適度な弾力があり墨の含みもよく、特に水墨画に適した筆です。
線を描くというよりも、筆の弾力や墨の含みのよさを生かした、
附立法(没骨法)という墨の濃淡による立体表現に使います。
水墨画用筆としてはもっとも基本的な筆となりますので、
水墨画をする場合は必ず揃えておきたい筆です。
水墨での山水画・花鳥画などに幅広く使えるほか、
俳画や、特に最近では絵手紙などにも使われています。
近代日本画では著名な日本画家の川合玉堂(かわい ぎょくどう)好みの筆で、
「長く芳名を流す」として筆の銘を「長流」としました。
100年以上の歴史があり、今も多くの画家が使い続けている名筆です。